空撮を始めてすぐにしたくなったFPV

FPV(First Person View)はよく出る言葉で「一人称視点」と訳せばいいのかな?
ここではラジコンにカメラを積んでその映像を電波で飛ばして手元のモニターで見ながら操作することを指しています。

空撮はある程度慣れれば勘で撮影できますが、細かいアングルなどは難しい。ドローンを遠くに飛ばしたときは進行方向も分らなくなる。やっぱりリアルタイムで見たいな。というわけでFPVを始めます。

ポイント

  • カメラ映像を電波で飛ばす。
  • 映像を受信し手元のモニターで見る。

手段の候補

GoProにはWi-FiでiPhoneに映像を送ることが出来ます。しかし、これはやってはいけない。ラジコン電波と同じ2.4GHz帯のWi-Fiを使えば間違いなく混線してコントロールを失う。とても危険です。

DJI純正のFull HDの映像伝送装置Lightbridgeは、機能は申し分ないが15万円以上するのでアマチュアには不向き。

国内で無資格で使える送信機は2.4GHz帯でせいぜい距離は200メートル程度らしい。

残るは5.8GHz帯の電波を使った送信機を使うこと。5.8GHz帯は映像の遅延が少ないらしく、海外ではアマチュアバンドとして広く使われている。中国製の安価な送信機がある。ただし、日本で使用するにはアマチュア無線技士の資格が必要です。

手段の選択

5.8GHz帯の送信機を使うことにしました。なので、アマチュア無線技士の資格取得、送信機と受信機の入手、アマチュア無線局の開局が必要になりました。

準備

アマチュア無線技士4級資格を取る

取得するには講習を受けるか国家試験を受けるかの2通りです。講習は、JARD(日本アマチュア無線振興協会)で養成課程講習会を受講します。国家試験は、日本無線協会が実施しています。

国家試験は勉強さえすれば小学生でも合格できます。問題は過去問題から必ず出題されます。「アマチュア無線試験問題」で過去問題、模擬試験をすることが出来ます。過去問題の丸暗記ではなく本を一冊買って勉強した方が良いでしょう。

お金に余裕があるなら講習の方が手っ取り早いかも知れません。2日間(10時間)かかりますが受験勉強時間よりは短くて済むでしょう。

機材を揃える

カメラは手持ちのGoProを使います。ドローン側に送信機、手元に受信機とモニターが必要です。また、映像を送信するには電波法でコールサインを送信する必要があります。10分以内ならば最初にボードなどに書いたコールサインを表示させるだけで良いです。FPVでは飛行中の情報をモニターに表示させるOSD(On-Screen Display)が流行っていますので、これにコールサインを表示させようと思います。

5.8GHz帯の送信機と受信機を入手する

様々な製品が出ていますが「技術基準適合証明(技適)」を受けなければ使用できません。技適のない中国製を購入し自分で申請しますので実績のあるものを選びます。多く使われているのは「BOSCAM TS-832( 600mW 32CH )」なので、これを選びました。類似品も出回っているので注意が必要です。

受信機はモニターと一体型にしました。モニターと受信機とそれぞれのバッテリーが別々だとゴチャゴチャしてしまうからです。バッテリー内蔵7インチモニター32CH受信の「BOSCAM RX-LCD5802」を選びました。電波は2チャンネル同時受信出来ます。これは誰に勧められたわけではなく、ひたすらネット検索して決めました。スピーカー内蔵でAV入出力もあるので汎用的に使えます。この機種も類似品とか同じ型番でチャンネル数が少ない(旧モデル?)があるので注意が必要です。もし、カメラで録画した映像でなく、OSDを含めた映像を撮りたいなら価格は1万円ほど高くなりますがレコーダー内蔵が良いでしょう。

OSD機器を入手する

これは悩みました。DJIには純正の「iOSD mini」があってPhantom2からフライトデータを得て表示できるのですが、肝心のコールサイン(固定文字列)を表示する機能がありません。

そこで汎用的なものを探しました。いくつか出ていますが「Remzibi OSD」を教えてもらいました。GPSがセットになっておりドローンとは別に独自にフライトデータを取得します。PCと接続するためのUSBモジュールも付いており、出力画面のデザインはWindowsアプリでイメージを見ながら設定できるので敷居が低いです(Mac版がないのは残念ですが。)。類似品やGPSモジュールがショボいものもあるようですので「DIY Remzibi OSD Open Source V1.79 5HZ GPS for Quadcopter FPV System 2013 Version」からの購入をお勧めします。

送信機の改造

改造と言っても大したものではありません。「BOSCAM TS-832」送信機は2つのボタンで32CHの周波数を変更できます。ボタンを押すと簡単に変わってしまうので誤設定しないようにアルミ板などでカバーします。このカバーを製作してください。

アマチュア局を開局する(以下は関東での申請を前提に)

資格が取れたらアマチュア局を開局します。送信機「BOSCAM TS-832( 600mW 32CH )」は「技術基準適合証明(技適)」のある機種ではないため「保証」を受ける必要が有ります。アマチュア局の開局・変更申請の保証業務は、TSS株式会社が実施しています。申請に必要なものを揃えてTSS株式会社に依頼します。

申請に必要なものを次に挙げます。

  • アマチュア局の無線設備の保証願書(TTSユーザーサポートからダウンロード→直接DLはこちら
  • 無線局免許申請書(総務省の各種書類のダウンロード(アマチュア無線局用)からダウンロード→直接DLはこちら
  • 無線局事項書及び工事設計書(同上)
  • 送信機の系統図
  • 前述補足資料
  • 送信機の写真
  • 収入印紙4300円
  • TTS株式会社へ保証料4800円の振込
  • 総合通信局からの免許状送付の為の返信用(自分宛)封筒(切手を貼る)

「アマチュア局の無線設備の保証願書」に記入する送信機は「TS-832 改造」 とします。

「無線局事項書及び工事設計書」の「13 電波の形式並びに希望する周波数及び空中線電力」は「5600M 4SA 1W」です。「TS-832」の出力は1Wもありませんが許可されるのは1Wなので、そう申請します。「発射可能な電波の形式及び周波数の範囲」は「F8W 5600MHz帯」、「変調方式」は「リアクタンス変調」、終段管の「名称個数」は「HMC406M x 1」で「電圧」は「5v」、定格出力(W)は「0.6W」です。

「送信機の系統図」及び「補足資料」は「アマチュア無線でRC FPVを楽しむ」で配布されているものに手を加えました。(こちらからダウンロードできます。「TS-832 改造」送信機の系統図TS-832 補足資料)送信機の系統図には「電力を書く必要がない」「周波数偏移幅ではなく占有周波数帯幅として17MHz以下との表記にする」とTSS株式会社の方に教わったので書き換えました。

(送信機とアマチュア局の開局は「アマチュア無線でRC FPVを楽しむ」を参考にしていますので詳しく知りたい方はそちらを参照してください。)

OSD機器にコールサインを設定する

「Remzibi OSD」にコールサインを表示させます。「Remzibi OSD」の使い方は別記しましたのでそちらを参照してください。→ 参照:Remzibi OSDの使い方

送信機とOSD機器を組み込む

カメラー>OSD機器ー>送信機の順に映像信号配線します。電源はすべてPhantom2からとります。

「Remzibi OSD」ボードはPhantom2の中に搭載しようと思っていましたが、起動後時にボタンを押す必要があるため外にある必要があります。そこで送信機と一緒にPhantom2の本体下につけることにしました。

テスト送信

さて、準備がやっと終わってテスト送信できるところまで来ました。電源を入れたら送信機のチャンネルを選択して許可された周波数に合わせます。モニターも同じチャンネルに合わせて受信できれば成功です。

起動する毎に「Remzibi OSD」の起動画面が表示されます。ボード上のボタンを押すことで消えます。また、このボタンを押すことでHOME地点が設定されます。

次にコールサインが表示されていることを確認します。もし意図した位置になければ「Remzibi OSD」の設定を見直してください。

おわりに

結構な道のりでしたね。自作派には簡単でしょうけどね。半田ゴテが使えて多少のPC知識があれば、これを参考にすればFPVができるんじゃないかなって思います。

日本では電波法によって5.8GHZ帯が制限されているので暫くは資格がないと満足するFPVはできないんじゃないかなぁって思いました。DJIからは2.4GHz帯を使った手軽なモデルが出てきそうですが選択肢としては絞られてしまいます。(2015年2月執筆時点)

結果的にアマチュア無線技士の資格が得られるし「OSD」も応用の効くものだから経験や知識として良いものになると思います。

謝辞:多摩電動飛行機研究会の「アマチュア無線でRC FPVを楽しむ」という記事のおかげで短時間でここまで出来たことに感謝します。

空撮を始めてすぐにしたくなったFPV」への4件のフィードバック

  1. luciacruel より:

    はじめまして。
    OSD機器を捜し求めてここにたどり着きました。
    きちんとまとめられていて非常に助かりました。
    早速、「DIY Remzibi OSD Open Source V1.79 5HZ GPS for Quadcopter FPV System 2013 Version」を注文して取り付けてみたのですが、うまくいきません。
    ビデオ電圧と、モーター電圧の表示が 0.0かNANと表示されたままで変化がありません。
    なにか心当たりがあればお教え願いたいです。

    いいね

  2. 崎山 雅彦 より:

    いつも丁寧な解説ありがとうございます。
    技適に関しての疑問点がスッキリしました。
    アマ4免許は取れましたが、なかなか送付してこないようです。

    いいね

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